この事も書いておかねばと思った。
デストロイヤーさんの訃報。
人生で二度目のプロレス観戦となった、地元紋別での夏の大会。
天龍同盟にハンセンが合流した頃の全日本が久々に紋別に来ると言う事で、高校三年の僕は二階席のチケットを購入して見に行った。
会場入りすると、僕のチケットを見てスタッフの方が(今思うと福田レフェリーだったかも)そのまま中に入ってと椅子のない真ん中にリングが鎮座した会場へ誘導された。
要はチケットの売り上げが伸びず結果的に全ての客をアリーナ扱いにしただけなのだが、経緯はともかく得したと単純に嬉しかった。
会場には何人かクラスメイトの姿もあって、彼等は特にプロレスには詳しくないので、僕は彼等に選手らの解説を観戦中する事になった。
鶴田が当日謎の欠場をする事になったのは残念だったが、メインでは天龍ハンセン冬木vsカブキテンタ高木の一戦が思いの外迫力ある一戦になったので良かった記憶がある。
そんな大会の参加選手の一人にデストロイヤーさんがいた。
確か第2試合で若手選手を相手にシングルマッチを戦ったと記憶してる(正確には違うかも知れないけど)。コミカルな動きを見せつつ、最後は4の字固めで決めていた。(追記:第3試合に鶴見五郎選手相手だったようです)
試合が終わると即会場隅の売店コーナーにそのまま直行し、自分のマスクのレプリカを売り始めた。あっという間に子供を中心にその日売店コーナー一番の賑わいを見せた。
そんななか、次の試合は確かあすなろ杯と銘打った若手のリーグ戦公式戦として川田vs田上が行われた。
後の四天王を担う二人だが、当時川田は阿修羅原解雇後の天龍のパートナーに抜擢もあったが、そのポストにハンセンが収まった後は冬木とのフットルースとしてトップと若手の間を彷徨う立場で、田上はまだそのポテンシャルを開花し切れずにいまいちくすぶっていた頃。
正直当時の状況的には川田があっさり勝つと思った。
しかし、試合開始後その予想は覆される。序盤からがむしゃらに川田に襲いかかった田上はその体格を生かしたダイナミックな動きを見せ、恐らく初公開と思われるジャイアントスイングまで披露した。
加えて相撲仕込みの打たれ強さも相まって川田は苦戦した。決して多くない会場の客達も僕を含めのめり込んでいった。
何らかのタイミングでふと売店コーナーに目が行った時、デストロイヤーさんもリング上に真剣な目で見入っていた。
川田がなんとか田上を振り切って勝利した時、会場は大きな拍手に包まれた。デストロイヤーさんも拍手していたと記憶してる。地方でも全力を尽くす姿勢を若手二人が天龍の試合の前に体現した形だった。
そんな思い出を蘇らせてくれたデストロイヤーさんの訃報だった。
あの時デストロイヤーさんの試合を生で見られた事、後の四天王を担った川田と田上のシングルを見られた事は財産だった。
デストロイヤーさんのご冥福をお祈りします。